多汗症

01. 多汗症とは
多汗症とは、体温調節に必要な範囲を超えて、日常生活に支障をきたすほど過剰に汗をかいてしまう状態を指します。本来、発汗は体温を一定に保つための重要な生理現象ですが、多汗症の場合は暑さや運動といった刺激とは無関係に、特定の部位や全身に大量の汗をかいてしまうのが特徴です。
この疾患は、原因が特定できない「原発性」と、他の病気や服用薬が原因となる「続発性」に分けられます。特に手のひらや足の裏、脇の下などに集中して汗をかくケースが多く、書類が濡れてしまう、人との握手をためらうなど、精神的な苦痛や生活の質の低下(QOLの低下)に悩む方が少なくありません。
02. 主な症状
多汗症の症状は、汗をかく場所や程度によって個人差がありますが、主に以下のような悩みが現れます。
- 身体的な症状
手のひら(手掌)、足の裏(足底)、脇の下(腋窩)、頭部や顔面などに、滴り落ちるほどの汗をかきます。汗による皮膚のふやけや、あせも、においの原因となることもあります。 - 実生活への影響
スマホの操作がしづらい、筆記用具や紙が濡れてボロボロになる、靴下や靴がすぐに湿ってしまう、服の脇部分に大きな汗染みができるといった不便が生じます。 - 精神的な影響
「汗を見られたらどうしよう」という不安から、対人関係に消極的になったり、人前に出ることに強い緊張を感じたりするようになります。この緊張がさらなる発汗を招くという悪循環に陥ることも少なくありません。
03. 考えられる原因
多汗症の原因は、その種類によって大きく以下のいくつかに分類されます。
- 自律神経(交感神経)の過剰反応
原発性多汗症の多くは、汗腺をコントロールする交感神経が過敏に働くことで起こります。なぜ過敏になるのか、その明確な理由は解明されていませんが、体質的な要因が強いと考えられています。 - 精神的ストレスや緊張
強い不安や緊張、驚きなどの感情的な刺激がトリガーとなり、一時的に大量の汗が放出されます。 - 疾患やホルモンの影響
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)や糖尿病などの病気、または更年期障害によるホルモンバランスの変化が原因で全身の汗が増えることがあります(続発性多汗症)。 - 生活習慣の乱れ
辛い食べ物(刺激物)の摂取、カフェインやアルコールの過剰摂取などが、発汗を促す要因となる場合があります。
04. 治療方法

多汗症の治療には、症状の部位や重症度に合わせてさまざまな選択肢があります。現在は医療機関で相談することで、効果的な治療を受けられるようになっています。
- 外用薬(塗り薬)
塩化アルミニウム液を塗布し、汗腺を塞ぐ方法が一般的です。最近では、脇の多汗症に対して有効な抗コリン薬の塗り薬も保険適用となり、広く使われています。 - 内服薬(飲み薬)
抗コリン薬などを服用し、全身の汗を抑えます。ただし、口の渇きや便秘などの副作用が出ることがあるため、医師と相談しながら調整します。 - 注入療法・医療機器による治療
脇の下にボツリヌス菌の成分を注射して汗を抑える「ボトックス注射」や、手のひらなどに微弱な電流を流す「イオントフォレーシス」という方法があります。 - 外科的手術
重症の手のひらの多汗症に対しては、交感神経の一部を遮断する手術(胸腔鏡下胸部交感神経遮断術)が検討されることもあります。
汗の悩みは「体質」だからと諦めないで
多汗症は単なる「汗かき」ではなく、適切な治療で改善が期待できる疾患です。まずは通気性の良い衣服を選んだり、吸水性の高いインナーを活用したりといったセルフケアから始めてみましょう。また、緊張による汗を気にしすぎると余計に発汗が増えてしまうため、深呼吸でリラックスを心がけることも大切です。一人で悩まず、皮膚科などの専門医に相談することが、快適な毎日を取り戻す近道となります。
監修医師
監修医師
池袋院院長
結城 直哉
順天堂大学医学部卒業後、総合病院で勤務。2024年にREVO CLINIC 池袋院院長に就任。内科と美容医療を組み合わせ、忙しい現代人が気軽に相談できる新しい医療の形を目指しREVO CLINICを展開
「まずは相談だけしたい」「すぐに受診したい」など、
どんな方でもご予約いただけます。どうぞお気軽にご予約ください。